美誠の非凡な才能引き出した“脱サラ異色コーチ”、リオ卓球で銅もたらす



 リオデジャネイロ五輪の卓球女子団体で日本の銅メダル獲得に貢献した伊藤美誠(みま)(15)=スターツ。卓球界のホープの成長を支えたのは“脱サラコーチ”松崎太佑(たいすけ)さん(32)の教えだった。会社員を辞めて伊藤の指導のためにプロ指導者に転身。異色の指導者が非凡な才能を引き出した。

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 日本女子の2大会連続メダルにあと1勝と迫った団体3位決定戦の第4試合。シングルスを任された伊藤を松崎さんはスタンドから見守った。「美誠は緊張で硬くなって負けることはない。相手が格上だと思ったときは心配ない」。思惑通り、伊藤はロンドン五輪個人銅メダルのシンガポール選手を3-0で破る圧巻のパフォーマンスをみせた。

 松崎さんは発光ダイオード(LED)の検査装置を開発する企業に勤めながら、地元・静岡のスポーツ少年団で卓球コーチを務めていた。伊藤は幼稚園のときにそこへ入団。付きっきりで指導していたのは母・美乃(みの)りさんだったが、「楽しみながら強くなれるように」と、飽きさせない応用練習の相手を務めるなどして卓球一家を支えた。中学で伊藤が大阪へと活動拠点を移す際、専属コーチ就任を打診されると、安定収入の保証もない挑戦にも「せっかく声をかけてもらったチャンス」と一念発起。退職してプロ指導者への転向を選んだ。

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 自身の現役時代は目立った選手ではなく、一流選手の指導経験があるわけでもなかった。「経験から助言できることは少なかった」というが、理系大学出身者らしく分析力にはたけていた。練習や試合では気づいたことを事細かにメモし、対戦相手の特徴も徹底的に研究。伊藤に関するノートは3年強で80冊を超えるという。

 私生活でも趣味の卓球動画鑑賞から世界トップレベルを見つめ、指導に生かせる点を探した。伊藤の性格もしっかり把握。「美誠は基本は身についているので、練習は短期集中型の方がいい」と、1日の練習時間はこのクラスの選手としては短めの3~4時間に設定し、その分を映像研究にあてたり、練習メニューを自分で考えさせるなど、頭を使うことを求めた。

 リオ五輪の団体準決勝ドイツ戦で単複ともに敗れた伊藤は涙を流した。銀メダル以上を逃し、直後はショックを隠せなかったというが、その夜の反省会で松崎さんは「一方的にしゃべらせ」聞き役に徹した。「試合内容が悪かったわけではない。負けた試合は振り返らない」。好調時の試合映像ばかりを繰り返し見たといい、この切り替えが伊藤を素早く立ち直らせた。

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 五輪の卓球史上最年少メダリストは東京五輪でも期待の星。松崎さんは「メンタルも技術も中国選手と変わりないが、フィジカルではかなりの差がある」と早くも課題を見据える。「みうみまペア」を組む平野美宇(16)=エリートアカデミー=ら日本勢は同世代のレベルも高い。「金メダルを取るためにはまずは国内の競争しか見ていない」。15歳の才能と32歳のコーチ。伸びしろ十分なコンビの挑戦は4年後へ続いていく。

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 14日(金)午後7時半から、サンケイカンファレンス大阪梅田(大阪市北区)で行われる「OSAKAスポーツ大学」の講座で、松崎太佑さんが「指導者の役割」をテーマに講演します。問い合わせは運営事務局((電)06・6633・9254)。

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 《伊藤美誠の歩み》

2000年10月21日 静岡県磐田市生まれ

        2歳のころ卓球を始める

2008年 全日本卓球選手権バンビの部(小2以下)で優勝

2010年 全日本卓球選手権カブの部(小4以下の部)で優勝

2011年 全日本卓球選手権で福原愛の史上最年少勝利記録を10歳89日で塗り替える

2013年 大阪に移り私立昇陽中学入学

2014年 平野美宇との女子ダブルスでドイツOP、スペインOPで2週連続優勝。ドイツでの優勝は史上最年少記録としてギネス認定。12月、ツアー・ファイナル女子ダブルスで日本勢初の優勝

2015年 ドイツOP女子シングルスを14歳152日の世界最年少で制す

2016年 8月のリオデジャネイロ五輪の女子団体で福原愛、石川佳純と銅メダルを獲得。15歳300日でのメダル獲得は卓球史上最年少記録

引用:美誠の非凡な才能引き出した“脱サラ異色コーチ”、リオ卓球で銅もたらす


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