今でもジョン・デーリーが愛されるワケ【舩越園子コラム】

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 アメリカでモノゴトが一番動かなくなるのは、大勢の人々が休暇を取るクリスマス前後。ちょうど日本の年末年始のような感じだ。その現象は米ゴルフ界にも見られ、試合も予定もなく、選手たちも姿を見せないこの時期は、ゴルフの話題が世の中から激減する。
 そんなとき、それでもメディアを賑わわせ続けるプロゴルファーは、言うまでもなくタイガー・ウッズ。だが、ウッズとは異なるタイプのゴルファーがこの時期のメディアに登場し、人々の関心を惹きつけることもある。ジョン・デーリーは、その一人だ。

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 つい先日もデーリーが地元アーカンソー州内にステーキハウスを開くことが、ちょっとした話題になった。有名アスリートが飲食店を開くこと自体は珍しくない。だが、成績がすっかり下降して久しい選手がこれから開く予定のレストランが完成予想図まで添えられてニュースになることは、あまりない。

 近年のデーリーは試合に出たところで大叩きの予選落ちのほうが多い。それなのに2006年にシード落ちしてからもスポンサー推薦を年間いくつも手に入れ、ひょっとしてシードを維持しているのかと勘違いされるほど米ツアーに頻繁に顔を出す。昨季は10試合に出場し、予選通過はわずか2回。だが、1度はトップ10入りを果たし、60台前半のスコアをマークしたこともあった。

 そもそも彼は補欠から繰り上がって出場した91年全米プロでいきなりメジャーチャンプになったシンデレラボーイだ。今でも群を抜く飛距離と今なお待ち合わせているであろう爆発力を期待され、試合に出れば、どれだけ叩いていようともギャラリーの大群を引き連れる。

 すでにシニア入りの年齢になった今でも驚くほどの人気者。そんなデーリーに手を差し伸べる企業や団体がずっと途絶えない理由は、何なのだろう。

 奔放すぎるほど奔放に生きてきたデーリーの度を越した言動に対し、世間から眉をひそめられた過去の出来事は枚挙に暇がない。

 重度のアルコール依存症に陥り、かつての妻や恋人に暴力を振るったり、試合を途中で放棄して姿をくらましたこともあった。ギャンブルによる借金は数十億円までかさみ、米ツアーから食らった処分は、出場停止猶予処分6回、出場停止実処分5回、警告処分21回、アルコール依存症治療警告処分7回、プロゴルファーらしからぬ言動に対する警告処分11回。科された罰金は、すでに10万ドル(約1200万円)以上と言われている。

 21歳で結婚したデールを皮切りに4人の妻と結婚し、そして離婚。4人目の妻はマネーロンダリングの罪で5か月間服役し、その後に離婚した。

 公私ともに波乱を起こし、その揚句に成績は下降の一途。ここまで来たら自分のプロゴルファー生命は「終わった」と思うのが普通だろう。が、それでもクラブを振り続け、思いのままに生きるところがデーリーらしさだ。

 一時期は過食による太りすぎを解消しようと胃を縛って小さくする手術を受け、別人のようにげっそり痩せた。だが、今ではすっかり元通りの巨体に戻った。シードもスポンサー契約も失って「経済的に苦しい。でも、どうしてもゴルフを続けたい。僕を助けてください」とメッセージを発信したこともあった。キャディフィ節約のため、いつも試合会場に同行していた恋人にバッグを担いでもらったら、2人は今ではすっかり名コンビ。

 言いたいことを言い、やりたことをやる。けれど、そこにはデーリーのゴルフにかける熱い想いがあり、そして彼はネバーギブアップ。それは、フツーの大人たちが、やりたくてもなかなかできない生きざまで、人々は「あんなふうに好き放題に生きられたらいいのになあ」と秘かなる願望を抱き、仮想の自分をデーリーに重ね合わせて「行け行け、ジョン!」とエールを送る。

 どこまでも一途なデーリーだからこそ、大勢の人々から愛され、トレードマークのライオングッズの売れ行きは上々。誰が出資したのかは明からされていないけれど、これからオープンするステーキハウスも繁盛すること間違いなし。そんなニュースが今日も米メディアを賑わわせている。

文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

<ゴルフ情報ALBA.Net>

引用:今でもジョン・デーリーが愛されるワケ【舩越園子コラム】


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